年末調整手続の電子化

 9月になりました。事務所ホームページのトピックスを更新したので、ブログでも紹介させていただきます。今月は「年末調整手続の電子化」についてです。

<年末調整手続の電子化>

 平成30年度の税制改正による年末調整手続の電子化が、令和2年10月1日より開始されます。電子化に対応した場合の、勤務先側・従業員側のメリットや準備しなければならない内容をご紹介いたします。

<年末調整手続の比較>

 年末調整手続を電子化することで、年末調整の手続きは以下のように変わります。

(1)用紙配布
・電子化した場合…申告書の配布等は必要ありません(初回のみ年調ソフトのダウンロード・設定が必要)
・書面の場合…勤務先担当者が各従業員へ年末調整申告書を配布する

(2)申告書の作成・提出
・電子化した場合…
①従業員が保険会社のホームページなどから控除証明書データをダウンロードする
※マイナポータル連携での一括取得も可能です
②従業員が控除証明書データを年調ソフトにインポートし、年末調整申告書データを作成する
※年調ソフトは国税庁HPから無料でダウンロード可能です。
③従業員が年末調整申告書データをメール等で勤務先へ提出する
・書面の場合…
①従業員が保険会社から控除証明書をハガキ等で受け取る
②従業員が控除証明書の内容を年末調整申告書に転記し、計算式にあてはめて控除額を計算する
③従業員が年末調整申告書を書面で勤務先へ提出する

(3)入力確認
・電子化した場合…勤務先担当者が年末調整申告書データを給与ソフトにインポートする
・書面の場合…勤務先担当者が年末調整申告書の内容を給与ソフトに入力する

(4)保管
・電子化した場合…勤務先は年末調整申告書データを7年間保存する(データ保存)
・書面の場合…勤務先は年末調整関係書類を7年間保存する(書類保存)

<年末調整の電子化のメリット>

 年末調整手続を電子化することによって、以下のようなメリットがあります。

(1)勤務先のメリット
・保険料控除や配偶者控除の控除額の検算が不要になります
・控除証明書等のチェックが不要になります
・年末調整関係書類の保管コストの削減
・従業員からの問い合わせが減少します

(2)従業員のメリット
・控除額等の記入・手計算が不要になります
・控除証明書がデータになるため、紛失のおそれがありません
・データ提出では押印は不要となります
・勤務先からの問い合わせが減少します

<年末調整手続の電子化の準備(勤務先)>

(1)従業員への周知
 保険会社から控除証明書データの交付を受けるための手続きなどが事前に必要となるため、早期に従業員に対して周知する必要があります。

(2)給与ソフトの改修
 従業員から送付される年末調整申告書データを給与ソフトにインポートするため、電子化に対応した給与ソフトの購入・バージョンアップ等が必要になります。

(3)税務署への届出
 年末調整関係書類を従業員からデータで受け取るためには、事前に税務署へ「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を提出し、承認を受ける必要があります。この申請書の承認は、提出した月の翌月末日に自動承認となるため、10月に従業員から電子データの提供を受けたい場合には、8月中に届出を提出しておく必要があります。

<年末調整手続の電子化の準備(従業員)>

(1)年調ソフトの取得
 保険会社等から取得する控除証明書等データをインポートして年末調整申告書データを作成するための年調ソフトを用意する必要があります。使用するソフトは原則として勤務先から指示されます。国税庁提供の年調ソフトを使用することも可能です。年調ソフトには氏名・生年月日・住所等を1度設定すれば、次年度以降も利用することが可能となり、データ作成を簡素化することができます。

(2)控除証明書データの取得準備
 保険会社のホームページ等から控除証明書データを取得するために必要な登録等が事前に必要になると考えられます(具体的な内容は保険会社ごとに異なります)。また、マイナポータル連携を利用される場合にはマイナポータル上で初回設定を行う必要があります。マイナポータル連携は1度設定すれば次年度以降簡単に控除証明書データを受け取ることができるようになり、提出漏れ等を防ぐことが可能となります。


 年末調整手続の電子化ですが、現時点では必ずしも対応しなければならないわけではなく従来の書面による手続きを継続することも可能です。また、全ての保険会社が2020年の年末調整までに対応が間に合わないケース等も考えられ、完全な電子化への移行は一定の時間を要すると予想されています。しかし、コロナ禍でのテレワークの普及などにより年末調整手続の電子化を積極的に進めている企業も出てきていますので、段階的にでも対応を進めていくことが望ましいと考えられます。

担当:高橋 将史

徳山税理士事務所ホームページ
http://www.tokuyama-tax.com/index.html

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